REACH規制とサプライチェーン
「日本の国内法では問題ないから大丈夫」。この言葉が、グローバルビジネスにおいて通用しないことを痛感した過去のエピソードがあります。
自動車部品製造の金属塗装の会社が、自動車メーカーから欧州REACH規制に対応した「鉛や六価クロムの不使用証明書」の提出を求められた時のことです。塗料メーカーにその証明を要求したところ、「日本の国内法で規制されていないから提出できない」という回答でした。
この事例は、グローバルサプライチェーンに属する企業にとって、以下の重要な教訓を突きつけます
- サプライチェーン全体の連鎖: 最終製品を製造する自動車メーカーは、そのサプライヤーである塗装会社に、さらにそのサプライヤーである塗料メーカーにまで、規制対応を求めます。規制はサプライチェーン全体に及びます。
- 法規制のギャップ: 日本の法律が許容していても、輸出先の国の法律や顧客の基準がそれを許容しなければ、ビジネスは成立しません。国内法は、グローバルコンプライアンスの最低限の基準に過ぎません。
このエピソードは、現在のPFAS規制の状況と酷似しています。多くの日本企業が「日本の規制はまだ緩い」と安堵する中、グローバルサプライチェーンから排除されるリスクは高まっています。今こそ、この過去の教訓を活かし、先手を打った対応が求められています。
