REACH規制とサプライチェーン

「日本の国内法では問題ないから大丈夫」。この言葉が、グローバルビジネスにおいて通用しない事例があります。

自動車部品製造に関わる金属塗装会社が、自動車メーカーから欧州REACH規制に対応した「鉛や六価クロムの不使用証明書」の提出を求められたケースです。塗料メーカーにその証明を要求したところ、「日本の国内法で規制されていないから提出できない」という回答でした。

この事例は、グローバルサプライチェーンに属する企業にとって、重要な示唆を与えます。

  1. サプライチェーン全体への波及:
    最終製品を製造する自動車メーカーは、そのサプライヤーに、さらにその先の原料メーカーにまで、規制対応を求めます。規制は企業単体でなくサプライチェーン全体に及びます。
  2. 法規制のギャップ:
    日本の法律が許容していても、輸出先の国の法律や顧客の基準がそれを許容しなければ、ビジネスは成立しません。国内法は、グローバルコンプライアンスの十分条件ではありません。

この構造は、現在議論が進むPFAS規制とも共通点があります。仮に国内規制が未整備であっても、海外市場やグローバル企業の基準が先行する場合、サプライチェーン上で不使用証明や管理体制の提示が求められる可能性があります。

したがって、PFAS問題は「国内規制の有無」ではなく、「サプライチェーン上で求められる基準」によって判断される局面に入っています。

今後は、国内法のみを基準とするのではなく、取引先や市場の要求水準を踏まえた対応方針の整理が重要になります